タンカ

 

トランスビジョン・ネパール、ポカラ・2003年・アクリル絵具・40×60cm

 

初めてインドへ行ってから、ヒマラヤにしばらく滞在し、それからネパールへ行きました。そこでタンカと呼ばれる仏教画を描いている人たちを見かけました。タンカはチベットから伝わった細密画で、仏教の物語や神々が描かれます。今ではお土産としてタンカが売られ、お店で絵師達が描いているのを見ることが出来ます。

カトマンズからポカラへ移動し、そこでも沢山のタンカのお店がありました。ポカラは大きな湖と山があり、湖沿いの道に沿ってレストランやお土産屋さんが並んでいます。そこでタンカ屋さんを廻って絵師の人達と話をして、1つのお店でタンカ絵を描かせてもらうことにしました。

先生は、当時まだ20歳くらいのワン君という絵師で、お父さんも弟も絵師という家族でした。そこでタンカ絵のテクニックを教えてもらいながら、自分の絵を描くことにしました。まず布を木のフレームに縛って固定し、ヤクという動物の皮脂を溶かした液体を布に塗ると、それがキャンバスになります。

タンカで大変なのはグラデーションの部分で、細い筆先をさらに細くして、刺青のように小さな点で描いて行きます。細かく描こうと思えば、いくらでも細かく描ける作業です。グラデーションの部分を見れば、どのくらい丁寧に描かれたのかがすぐに分かります。

途中少し挫けそうになりましたが、ワン君に励まされながら、雨季のポカラを過ごしました。思い出すのは、夜中の大雨と、カエルの大合唱です。絵の真ん中の部分が以前に私がデザインしたもので、鳥のような8つのシンボルが円を描いて配置されています。

 

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